生きるのが苦しいとき誰かと関わるのが怖いとき。この物語は、心の奥に静かに触れてくれます。
引きこもりの青年が、認知症を抱える祖母との時間を通して、もう一度「自分を生きること」を学んでいく──。
原田マハさんの『生きるぼくら』は、失った絆を取り戻し、心を再び灯すための再生の物語です。
生きるぼくら(原田マハ)作品情報

項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 生きるぼくら |
著者 | 原田マハ |
出版社 / レーベル | 徳間文庫 |
発売年 | 2015年9月4日 |
ジャンル | 日本文学 |
あらすじ|家族とのつながり
家族とのすれ違いから引きこもり生活を続けていた青年・麻生。ある日、遠く離れた祖母が認知症を患いながら一人で暮らしていることを知り、彼は思い切って祖母の家を訪ねる。
そこは、時間がゆっくり流れる田舎の土地。祖母の手料理、近所の人々の優しさ、自然の静けさ──すべてが彼の心を少しずつ変えていく。
畑を耕し、季節の移ろいを感じながら、彼は“生きる”という行為の重みと優しさを知っていく。やがて、家族に対して閉ざしていた心の扉が、音もなく開いていくのだった。
こんな人におすすめ
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- 泣ける度
- 4.5
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- 楽しめる
- 4
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- 切ない
- 5
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- 満足度
- 5
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- 読み応え
- 5
- 家族との関係に悩んでいる人
- 人との距離の取り方に迷っている人
- 生きる意味を見失いかけている人
- 優しい物語に包まれたい人
読んだあとに心に残ったこと
大きな事件も、派手な展開もない。けれど、ページをめくるたびに心がじんわり温かくなる。人と関わることの痛みと優しさ、その両方を抱えながらも前へ進む姿に、読者は自分自身を重ねるだろう。
彼は最後に、かつて失った誰かと“再びつながる”。その瞬間に初めて、他人の痛みが自分の中にも流れ込んでくる。痛みを知ることは、やさしさを知ること。
そのことに気づいたとき、彼はようやく「生きるぼくら」の一人になれたのだと思う。
おわりに|生きること

人は、ひとりでは生きられない。誰かとつながることで、はじめて自分の中の温もりを取り戻せる。『生きるぼくら』は、そんな「生きる」という言葉の根っこを静かに教えてくれる物語です。
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