小説『優しい手』を書いて思ったこと

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著者のまごこもです
この物語は、半分が実話のフィクション

自分は、小さいころ施設で育ちました。
母親という存在を
ちゃんと「知る」という経験がありません。
だからかもしれない。
家族という言葉に、ずっと遠さを感じてきました。


そんな自分のまわりに、一人の知人がいました。
彼もまた、似たような背景を持ちながらも、
本当に努力して
自分の人生をつかもうとしていました。

彼は、社会に出てからもがんばって、
いわゆる“普通”の企業に就職し、
やがてお金を手にし、
投資をはじめて──
まるで人が変わったように見えました。


正直、かなしかった。
心から応援してたし、
きっと彼は“誰かに優しくされたかった人”だと
思ってたから。


でも、あるとき、彼がふと言ったんです。

「おかねなんて
いらなかったんだよな。」

その言葉が、すべてだったと思います。


きっと彼は、
お金がほしかったんじゃない。
安心とか、信頼とか、手を伸ばせる誰かが、
ほしかっただけなんだと思います。


この言葉を、
どうしても忘れたくなかった。
誰かに伝えたかった。
だから自分は、『優しい手』という物語を
書きました。


この作品は、特別なことを描いたわけじゃない。
ただ、もう一度、誰かと手をつなげたらいいな──
そんな、静かな祈りのような物語です。


読んでくれてありがとう。
これが、自分にとっての「裏話」であり、
「優しい手」が生まれた理由です。

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小説『優しい手』作品紹介